殺戮都市~バベル~
「なあ、別にただでとは言わねえんだよ。お前をボコッて奪う所を、快く譲らせてやろうって言ってんだよ」


ドンッと俺の胸を押して、ヘラヘラと笑う。


こんな時……俺以外の人ならどうするだろう?


死神や吹雪さんなら、遠慮なく殺しているだろう。


でも、新崎さん達なら……下手に関わり合いにならずに、食料を渡すかもしれない。


今までの俺ならそうしていただろう。


だけど……強くなりたいという想いが、俺を少し変えた。


「……い、嫌です。欲しければ、自分で買えば良いじゃないですか」


普段言わないような事を言って、身体からサーッと血の気が引く感覚に襲われる。


「あ?」


俺の言葉で、男は気を悪くしたようで、短刀を抜いて俺に突き付ける。


「俺の話を聞いてたのか?ボコられて奪われるか、差し出すかどっちかしかねぇんだよ。自分で買うって言ったかコラ!」


後ろにいた男二人も、ヌンチャクとハンマーを取り出して迫って来る。


「こ、これは俺の弁当だ、渡さない!」


強い気持ちでそう言い、俺は日本刀を引き抜いた。


思いもよらない武器の出現に、一瞬驚いたような表情を見せたけど、男達は武器を構えて俺を睨み付けた。
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