殺戮都市~バベル~
「その悲しみはお前の力になるのかよ!ピーピー泣いて、闘志を鈍らせるくらいなら、そんな感情捨てちまえ!」


「なにぃっ!?悲しんで戦えなかったあんたに言われたくはない!」


お互いにお互いの服を掴んで、今にも殴り合いの喧嘩になってしまいそうな状況。


俺自身、こんなにも感情を爆発させる事になるなんて、全く想像していなかった。


そして、二人同時に拳を振り上げたその時。








「そこまでにしろ!バカ者共が!」







恵梨香さんの手が顔に当てられ、強引に俺と沼沢を引き剥がしたのだ。


「くっ!止めるな死神!こいつには覚悟が足りないんだよ!どれだけ仲間を犠牲にしても、目的を達成するって覚悟がな!」


よろめいた後、体勢を立て直した沼沢が、拳を震わせて俺を睨み付けた。


「止めるわバカ者!こんな所で味方に怒りを爆発させてどうする!ビショップがいたんだ……この先には、必ずクイーンがいる!怒りはそれまで取っておけ!」


その言葉に、悔しそうに階段を蹴る沼沢。


仲間を犠牲にしても、目的を達成する覚悟……。


そしてクイーンの存在。


沼沢と同じく、俺もその言葉で納得出来たわけじゃない。


でも、俺には覚悟が足りないと言われ、反論出来なかったのが悔しくて、握り締めた拳を震わせる事しか出来なかった。
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