殺戮都市~バベル~
そんないざこざがありながらも、俺達はひたすら階段を上り続けた。


少しでも触れれば、爆発してしまいそうな感情を押し殺したまま、無限に続くのではないかと思ってしまう階段を、ただひたすら。


「ねえねえ、どれくらい上ったら頂上に着くと思う?このまま宇宙まで行っちゃったりして」


「雰囲気暗いよ?もっと明るく行こうよ。ひゅーひゅー」


……喋っているのは吹雪さんだけ。


別に答える必要もないから、無言で上り続けて……ようやく、階段に終わりが見えたのだ。


「見ろ、天井がある。あそこが頂上……私達が目指した場所だ」


あれから何も喋らなかった恵梨香さんが口を開き、上方を指差して見せた。


あれが……頂上なのか。


この階段を上り続けても、本当に終わりはあるのかと、疑問に思っていた俺は、内心ホッとしていた。


「じゃあ、あそこまで競争だね。行くよー!よーい……ドンッ!」


誰も何も言っていないのに、吹雪さんが一人で走り出す。


……ここに来ても相変わらずなんだな、吹雪さんは。


「やれやれ。いつまで経っても騒がしいやつだ。競争するつもりはないが、目的地が見えたのなら急がない手はあるまい」


そう言って、吹雪さんに続いて恵梨香さんも走り出した。


残された俺と沼沢は……どちらからというわけでもなく、こいつにだけは負けたくないという一心で階段を駆け上がった。
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