殺戮都市~バベル~
「真治君、早く行こうか。奈央さんを運んで、東軍に行かなきゃならないんだ。時間を無駄にしている場合じゃない」


奈央さんの亡骸を抱えてくれている黒井が、バーコードを一瞥して背中を向けた。


やらなきゃならない事があるのはわかっている。


だけど、奈央さんをどこに置けば良いんだ。


黒井もそれがわからないんじゃないのか?


「なんだか……大変そうだな。どうだろう?わしがそのお嬢さんを埋葬しようか?洗浄日に流されるのも、どこかに置いて腐敗するのも良い気はしないだろう」


埋葬……俺にしてみれば、奈央さんがどうなっても辛いんだけど。


それでも、埋葬した方が……良いのかと思えるな。


「この街で埋葬だって?そんな酔狂なやつがいるとは思わなかったけど……どうする真治君。このハゲを信じるか?引き渡したらすぐに行くぞ。埋葬を見届ける暇なんてないからな」


俺が迷っている間も、恵梨香さんは助けを求めているに違いない。


もしかすると殺されて、北軍に戻っているかもしれないんだ。


それを確かめる為に、行かなければ。


「……わかった。おっさん、埋葬してくれ。でも……適当な事をしたら殺すからな!!」
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