殺戮都市~バベル~
前足を負傷して、踏ん張りが効かなくなったのか、盾を地面に付いて、体勢をなんとか立て直そうとしている。


「あぶねーっ!想像よりずっと強いじゃん!こりゃあ……一人でやるのは厳しいな。真治君!俺の動きに合わせろ!一気に叩くぞ!」


素早く飛び退いた俺に、黒井が無茶な要求をする。


俺と黒井が共闘した事なんてないのに……動きに合わせろとかどういう事だよ。


それに、脚を負傷してるんだから、今なら逃げられるかもしれないのに。


「メインで俺がやる!真治君は隙を突いて攻撃!付いて来いよ!!」


そう言い終わると、再びランスを構えてナイトに向かって駆け出したのだ。


こ、この人……逃げる気が全然ない!


だけど不思議だ。


ナイトなんて化け物、絶対に勝てるはずがないと思っていたのに……黒井に引っ張られているのか、なんとかなりそうな気さえする。


「くっ!自分勝手かよ!」


飛び退いたのに、また接近して、黒井の後ろから攻撃のチャンスを伺う。


そんな俺達に気付いたのか、ナイトが地面に付いていた盾を振り上げ、黒井を殴り付けた。


ほぼ真横からのその攻撃すらも、黒井は倒れ込むかのようなスライディングで回避したのだ。
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