敏腕社長に拾われました。
「はーい、これで注文完了。代金は給料から天引されるんでーす。便利でしょ?」
胡桃ちゃんは得意気に、ピースサインをしてニッコリ微笑む。
あは……あははははは……。そういうことだったのね。
胡桃ちゃんのピースサインを見て、一気に体の力が抜けてしまう。
でもその一方で、ふつふつと湧き上がる怒り。
虎之助~! あとで覚えてなさいよっ!
そんな刑事ドラマのチンピラが言うような捨て台詞が、頭の中をこだまする。
自分の会社だもんね、社員食堂でお金が要らないことは、知ってるに決まってる。それなのに『お金もないのによく奢れるね』なんて。
このことと言い宮口さんのことと言い、これは今晩じっくり話し合ったほうがよさそうだ。
虎之助、首を洗って待ってなさいよ! 遊ばれたり騙されたり、ホント頭にきちゃう。
表向きは虎之助に腹を立てているのに、でも内心は……。早く夜にならないかなと、虎之助とのファイトを楽しみにしてる自分がいたりする。
それは、なんで? 自分に自問してみる。
「きっとお腹が減ってるから、思考回路がおかしくなってるんだよね?」
出てきた答えに納得すると、私も胡桃ちゃんと同じ親子丼のボタンを押して配膳カウンターへと向った。