敏腕社長に拾われました。

「なあ、人に聞くだけ聞いといて、目閉じるってどういうことだよ」

虎之助はそう言って、私の鼻をピンッとはねる。

「だって、虎之助がなんて答えるか怖くって」

今だって、まだ怖い。虎之助からどんな答えが返ってくるのか、心配で体が震える。

「前にも聞いたと思うけど、智乃の中の俺ってどんだけ低レベルなんだよ? 俺が誰でも構わず、ホイホイ抱けるとでも思ってる?」

「え、抱けないの?」

「おまえはバカか……」

私の大真面目な言葉に虎之助は呆れたのか、ガックリと肩を落とす。そして顔を俯かせたまま、小さな声でつぶやいた。

「好きな奴しか抱かないよ」

「え? なんて……」

「ああーもう! だから先に今までのコトの成り行きを話して、俺の気持ちを分かってもらおうと思ってたのに」

「コトの成り行き?」

「もういい、面倒くさいし我慢の限界。終わったら全部話すから……」

虎之助は早口でそこまで言うと、私の体をソファーに押し倒す。

「ねえ、これって答えになってないと思うんだけど?」

「男と女の関係に、答えなんかあるのかよ。好きだから抱きたい、ただそれだけだろ?」

好きだから抱きたい? それって、もしかして……

「私のことが好きってこと?」

「当たり前だろ。智乃以外に誰がいるっていうんだよ」

顔を近づけた虎之助の唇が、耳朶をかすめ甘く囁く。虎之助の吐息の熱さに、私の頬も熱くなる。



< 147 / 248 >

この作品をシェア

pagetop