敏腕社長に拾われました。
でも澄子から返ってきたメールは『無理!』と、たったひと言だけ。
親友が助けを求めているのに、なんて薄情なやつなの。親友なら『どうしたの?』って、少しくらいは心配してくれてもいいじゃない!
なんて怒ったところで、そんなこと私の身勝手だってわかってる。澄子には澄子の事情もあるだろうし。
じゃあ実家に帰る?
でもあの口うるさい母親のことだ。きっと『なんで帰って来たんだ』とか『何があったんだ』と、根掘り葉掘り聞かれるに決まっている。父親にいたっては私のひとり暮らしにも反対していたぐらいだから、今度は結婚するまで家を出してもらえないかもしれない。
だから実家に帰るのは、最終手段にしたいわけで。
市内一番の繁華街がある駅で電車を降りると、あたりをぐるっと見渡す。
「しばらくは漫喫で過ごすしかないかな」
何軒かの漫画喫茶の看板が目に入ると、ボソッと呟く。
前回浩輔に追い出された時と違って、今回は現金も持ち合わせている。とは言え贅沢できるほど持ってるわけじゃないから、今後のことは早く考えなくちゃいけないけれど。
鞄を抱えため息をつくと、同時にお腹もグ~と音を鳴らす。
人間というものは、こんな時でもお腹が空くのね……。
って、私だけかっ!
なんて寂しくひとりツッコミすると、今晩のお店を探しに人で賑わう街へと繰り出した。