敏腕社長に拾われました。
気が弱ってる時だから、やっぱりお肉にする? それともちょっと奮発して、お寿司でも食べちゃう?
色々と考えることはあるけれど、まずは腹ごしらえ。お腹が空いてちゃ、まともな判断もできないしね。
時々ブティックや雑貨のお店を見ながらどのお店にしようかと歩いていると、トートバッグの中からメールの着信音が聞こえた。
雑貨屋の店内にある時計を見ると、時刻は午後七時を少し回ったところ。虎之助が出張から戻ってくるのも、確か七時くらいだったはず。
今のメール、間違いなく虎之助からだ。
確認するためにトートバッグからスマホを取り出すと、恐る恐る画面を見る。
「だよね……」
受信されていたのは、やっぱり虎之助からで。内容を確認しなくても、どんなことが書かれているか想像できてしまう自分が怖い。
本当のことを言うと、ここ何日か虎之助からのメールに返信をしていない。それどころか、電話が掛かってきても知らん顔をしていたから、虎之助はかなりご立腹だと思われる。
でも今は何も話すことはないし、声を聞いたら決心が鈍りそうで……。
「聞こえなかったことにしよう」
バックの中にスマホをしまうと、何もなかったように店内を見て回った。