敏腕社長に拾われました。

「あ……」

なんで宮口さんが、ここにいるの?

「えぇ? 早瀬さん、あなたこんなところで何してるの!? 社長は?」

「えっと、それはですねぇ……」

って言えるか! 言えないからこそ、秘書室を大急ぎで出てきたっていうのに。なんで、こんなところで会っちゃうかなぁ……。

肩を落とし宮口さんから視線をそらすと、隣にいる男性が目に入る。

あれ? この男性と宮口さんって、さっき仲睦まじく肩寄せ合ってたよね? あれは間違いなく恋人同士の仕草だったけれど、この人ってもしかして……。

そろそろと宮口さんに近づき、耳元に顔を寄せる。

「宮口さん。隣の男性って、もしかして“彼”ですか?」

小声でそう伺うと、宮口さんの顔がみるみるうちに赤くなっていく。

なに、この初々しい反応! 宮口さんでも、こんな可愛い姿見せることあるんだ。

「な、何言ってるのよ。大人をからかわないで」
なんて否定しないところを見ると、やっぱり彼氏なのね。体をくねくねさせて恥ずかしがるなんて、嬉しくなってきてこっちまで恥ずかしくなってきちゃうじゃない。

こんな姿の宮口さんを見るのは初めてで。調子に乗って宮口さんの体を「コノコノ!」っと肘でつついていると、その腕をガシッと掴まれた。

「な、なんですか?」

「なんですか?じゃないでしょ。話、聞かせてもらうわよ」

宮口さんは刑事ドラマさながらのセリフを吐くと、『確保!』と言わんばかりに私のことを拘束した。



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