敏腕社長に拾われました。

詩織さんとのこと。詩織さんに言われたことで、自分なりに考えたこと。そしてその答えが、今日の行動に繋がっていること。全部を事細かく話すと、宮口さんは大きなため息をついた。

「話はよくわかったわ。だから今日は朝から、心ここにあらずって感じだったのね」

呆れたような顔を向けると、何度か頭を振った。

「すみません……」

自分ではちゃんと仕事をこなしているつもりだったけれど、どうもそうじゃなかったみたい。私情を仕事に持ち込むなんて……。

「早瀬さん、顔を上げなさい」

情けなくて俯く私に、宮口さんの厳しい声が飛んできた。

また怒られるんだとこわごわ顔を上げると、腕組をした宮口さんと目が合う。その瞬間恐怖からか体がビクッと反応してしまい、それを見た小泉さんが笑い出した。

「朱音さん、もしかして会社では怖い存在なの? なんか、一緒にいる時の朱音さんからは想像できないなぁ」

「え?」

想像できないって、どういうこと? 小泉さんといる時の宮口さんって一体……。

チロッと横目に宮口さんのことを見れば、今の小泉さんの発言を聞いて顔を真赤に染めている。

可愛いじゃない!

きっと小泉さんとふたりきりの時の宮口さんは、極普通の恋する女性なんだ。



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