敏腕社長に拾われました。
でもよく考えて見れば、私の恋愛事を心配してくれたり怒ってくれたりするのは、女子力が高いから? 人は見かけによらないって言うけれど……。
「慎二さん、私のことはいいから。少し黙っててくれる?」
「はいはい、分かりました」
小泉さんはそう言って、私に口パクで『怒られちゃった』と苦笑した。
そっか。小泉さんは、宮口さんのことをよくわかってるのね。どこで突っ込んで、どこで引く。小泉さんの前で宮口さんが乙女でいられるのが、わかる気がする。
「それで!」
「はいっ!?」
宮口さんがいきなり声を上げてテーブルを叩くもんだから、大きな声で返事をしてしまい、回りにいる他のお客さんが一斉にこっちを見た。でもそんなことお構いなしに、宮口さんは言葉を続ける。
「荷物を抱えて、しっぽ振って退散するわけ?」
「しっぽ振って……」
そう言われても仕方ないけれど。虎之助にとってなんのメリットもない私が彼のそばにいるより、詩織さんの方が数倍役に立つと思うわけで。
「引き際って、大事だと思うんです」
「引き際?」
私の言葉に、宮口さんの眉がぴくっと上がる。
「はい。虎之助と付き合ってるって言ってもまだ一ヶ月ちょっとだし、今なら諦められるというかキズは浅くて済むというか……」
虎之助のことは大好きだけど、今ならまだ自分の想いをごまかすことは出来そうな気がするから。