敏腕社長に拾われました。
「でもそれって、まだ社長のことが大好きだって言ってるようなものじゃない? それに社長の気持ちは? 社長とは、ワイナリーの女社長とのこと話したの?」
「はい、まあ一応」
「で、社長はなんて?」
宮口さんの追求は、止めどなく続く。
「永田さんが持ってきた話だから、悪い話じゃないんだろうけど」
「うん」
「結婚する相手は自分で決めたいって」
「それで?」
「その相手は……私しかいないって」
おまえがいいの──
虎之助は私の目をまっすぐ見て、そう言ってくれた。だけど……。
「それって、世間で言う“プロポーズ“じゃないの?」
「そうなんですか? でもちゃんとしたプロポーズは期待しとけって。こんなことになるなら、あの時にしてもらえばよかったです。それだけで、虎之助とのことはいい思い出に出来たのに……」
泣きそうになるのをこらえるようにコップの水を飲み干すと、その顔を見られないように俯いた。
自分で決めたことなのに泣くなんて、バカみたい……。
だ
から涙なんか流さない……そう思っていたのに。膝の上にある手に、一粒二粒と涙の雫が落ちてきた。
「バカだバカだと思ってはいたけれど、あなたって本当のバカだったのね。呆れてものも言えないわ」
ものも言えないって、さっきから言いたいこと言ってくれちゃってるような……。
そして宮口さんの発した声は、本当に呆れているようで。悲しいやら悔しいやら、涙が止まらない。