敏腕社長に拾われました。

「ワイナリー見学の方ですか?」

そう聞かれ、この女性がこのワイナリーの人間だと分かると、これはチャンスだと詩織さんのことを聞いてみた。

「いえ、違います。本間詩織さんにお会いしたくて。あ、私、早瀬智乃と言います」

「早瀬さま……。申し訳ありませんが、社長とはアポイントメントはお取りでしょうか?」

女性の顔が、険しいものに変わる。

でもここで怯むわけにはいかない。

「いえ、突然来てしまったので。無理は承知でお願いしたいんですけど、詩織さんに私が来ていると伝えてはもらえないでしょうか?」

せっかくここまで来たんだ、詩織さんはここにいるなら絶対に会いたい。直接会って、虎之助とは別れませんと、私の本気を伝えたい。

縋るような気持ちで目の前の女性を見つめると、その気持ちが伝わったのか彼女の表情が少し和らいだ。

「何か訳がありそうですね。わかりました、少しお待ちいただけますか? 必ず会えるとお約束はできませんが、社
長にあなたが来ていることを伝えてみます」

女性はそう言うと私に「建物の中でお待ち下さい」言い残し、小走りにその奥へと入っていった。



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