敏腕社長に拾われました。
「良かった……」
ほっと胸をなでおろす。
まだ何も始まったわけじゃないけれど、女性の様子だと詩織さんは今日ここにいるのは間違いなさそうだ。それだけでも良しとしよう。
詩織さんが私の名前を聞けば、私がここへ何をしに来たかピンとくるはず。とすれば、詩織さんは必ず私に会いに来る。
私の中のに生まれた絶対的な確信が、ここに来て体に緊張を走らせた。
ぎこちない足取りで建物の中に入ると、ワインの香りが迎えてくれる。あたりを見渡すと、綺麗にワインが並べられ、その横にはワインを使ったお菓子などが陳列されていた。
「ここはショップなのね」
奥を覗けば、レストランらしきお店も見えた。
外観と同じく内装もヨーロッパ調で、どこを見ても飽きない造りになっている。所々に飾られている花や調度品もセンスが良く、これも詩織さんだから?と感じずにはいられない。
そして窓際の場所に休憩スペースらしき場所を見つけると、少し気落ちしながら椅子に腰掛けた。
センスの欠片もない私の持っているものと言えば、『元気』とか『明るい』とか、そんな簡単な言葉で表すようなことばかり。一度答えが出れば『きっとその通りなんだ』と勝手に思い込み、ひとり負のループに迷い込む。虎之助に悪い癖だと言われたこともあったけれど、私みたいに何も取り柄のない女はつい悪い方へと考えこんでしまうもの。