敏腕社長に拾われました。
まさかいきなり詩織さんが来ると思っていなかった私は、目をパチクリ立ち尽くす。
「智乃さん、いらっしゃい。必ずここに来ると思ってました」
詩織さんはそう言って、綺麗に微笑んだ。
必ずここにくると思っていた? 私のすることなんて、お見通しと言うわけだ。
まあ本当のことを言えば、宮口さんに言われたんだけど……。
それでも私が来ることが分かっていた詩織さんは、何か先手を打っているかもしれない。ここは気を引き締めて行かないと。
どこかに罠が仕掛けてあるかもしれないとばかりに、目だけであたりをキョロキョロ見渡すけれど……。ここには特になにもないみたいだ。
「智乃さんって、本当に面白いわ」
私のおかしな行動が詩織さんの目には愉快に映ったらしく、クスッと笑われてしまった。
「す、すみません。何に連絡も無しに来てしまって」
「連絡? そうね、あなたからはもらってないわね」
「はい?」
詩織さんの言ってることがわからない。誰かが連絡してきたってこと? 宮口さんとか? いやいや、彼女がそんなことするはずないし、詩織さんの勘違い?
首を傾げでひとりで考えていると、詩織さんに腕を掴まれた。
「えっ!? なんですかっ?」
「ここで立ち話もなんだし、一緒について来て」
詩織さんは私が驚いているのには構わず腕を引っ張ると、さっさと歩き出してしまう。