敏腕社長に拾われました。

虎之助が私を選んだわけ?

詩織さんの言っていることはよくわからないけれど、詩織さんの言葉で自分がここに来た理由を思い出す。

景色を見てる場合じゃないでしょ! 今日は詩織さんに、宣戦布告をしに来たんじゃない!

クルッと向きを変え姿勢を正すと、目に前の席に座った詩織さんの目を直視する。

「あの! 今日は詩織さんに言いたいことがあって、ここに来ました」

自分でも驚くほど大きな声が出てしまったのに、詩織さんは穏やかな顔をしている。

「ええ、わかってます。でも智乃さん、その話はもう少しだけ後にしてもらえる?」

「え? あ、はい……」

折角にヤル気になっていたのに、出鼻をくじかれて戦意喪失。やっぱり私、詩織さんには弱いらしい。

でも、どうしてもう少し後なわけ? レストランの個室に連れてこられたんだから、ご飯を食べてからとか? ってここのレストラン結構お値段高そうだけど、私そんなにお金持ってたっけ?

財布の中を確認したくても、詩織さんの前じゃそんなこともできないし。まあ最悪の場合、ツケにしておいてもらう?

でも出来れば早く話を終わらせて、虎之助のところに帰りたいんだけどなぁ……。

詩織さんが現れてから彼女のペースに引き込まれて、なかなか自分の思い通りに行かない。でもここは詩織さんの領内。焦ってもいいことないし、相手の出方を待つっていうのも悪く無い。



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