冷徹なカレは溺甘オオカミ
「もー、彼氏ができたなら早くあたしに教えてくれればいいのに! 大将セキハーン! 赤飯持ってきて~!!」

「……ちょっと梶谷、なんで梅野すでにエンジン全開なの」

「久々の同期会にテンション上がってんだろ。大目に見てやれよ」



わたしたちが呼ぶ『梅野』は、実は旧姓で。彼女の結婚した今の苗字は、なんと『バーネット』という。

そう、実は梅野は、アメリカ人の旦那さんとの国際結婚。そんなわけで、まさかの新しい苗字は呼びにくく、かといっていきなり名前で呼ぶのも気恥ずかしいということで、苗字が変わった今でも同期時代と同じ『梅野』で通しているのだ。



「いや~~うれしいなあ、こうしてまた3人で飲めるの」



にこにことそう言いながら、梅野は枝豆をつまむ。

少し前に第二子を出産したばかりの彼女は、もしかすると居酒屋に来るのも久しぶりなのかもしれない。

結婚して子どもを産んで、初めて出会った頃よりもいい意味で大人っぽくなったその横顔に、今日はやたらと楽しげな様子が垣間見える。


……まあ、わたしも、うれしいのは一緒だし。

運ばれてきたビールのジョッキを掲げて、カチンとふたりの盃と合わせた。



「……ふたりとも、久しぶり。元気そうで何よりだわ」

「はは、柴咲もな!」

「ふふふっ、かんぱーい!」



やっぱり、このふたりと一緒にいるときの空気は、好きだな。

こっそりそう思いながら、わたしは緩む口元を隠すように、ビールをのどに流し込んだのだった。
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