冷徹なカレは溺甘オオカミ
久しぶりの同期会は、今までと比べると早めと言える、22時頃にお開きとなった。

梅野は実家に預けた子どもたちを迎えに行かなくてはいけないし、梶谷は明日、友達の結婚披露宴で友人代表スピーチという大役がある。

明日は土曜日で、しかもわたしにこれといった予定なし。よっぽどのお酒好きなら、ここでおひとり様でも次のお店に行くのだろうけど……あいにくわたしはそこまでの酒豪でもないし、このままさっさと帰路につくことにする。



「じゃあなふたりとも! また集まろうなー!!」



ほろ酔いな緩みきった表情で両手をあげる梶谷を見て、梅野が楽しげに笑う。



「うん、絶対!! 梶谷も柴咲も、仕事がんばってね」

「ありがと梅野。梶谷、今度帰って来るときはわたしにも連絡寄越しなさいよ?」

「はは、考えとく!」



わたしのジト目にも梶谷はおかしそうに笑い、重そうなキャリーバッグを引きながら宿泊するホテルへと向かっていく。

梅野はバス、わたしは電車だから、3人とも駅前で見事にバラけた。


通い慣れた駅の中を歩いて改札を抜けると、ちょうどホームに電車が入ってきたのでそれに乗り込む。

少しだけほてった頬に指先で触れながら、アルコールの香りがするため息をついた。


……なんか。

なんでか、今、無性に──……。
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