冷徹なカレは溺甘オオカミ
「うん、そう。業務命令、よ」
「わかりました」
あっさりとそう言って、立ち上がった印南くん。
彼はわたしに手を差し伸べて引き起こしてくれた後、何事もなかったかのようにオフィスへと入って行った。
その後ろ姿を見送って、呆気にとられるわたし。
……うん、そう。
これです、これ。
仕事ができて真面目な彼の、ちょっと特殊なところ。
わたしと会話をしていた今の数分間、印南くんはすこっしも、表情を変えなかった。
いきなり名前を呼ばれたわたしが驚いて変な声をあげてしまったときも、わたしの乙女な趣味を知ったときも、「業務命令」と言ったときも。
彼は、いつだって無表情。少なくともわたしは、印南くんと知り合って半年の間、一度も笑った顔なんて見たことがない。
そもそも、わたしと彼は頻繁に雑談したりするようなそこまでの親しさもないんだけど……でも、それにしたってこのポーカーフェイス具合は異常だと思うのだ。
まあ、さすがに取引先を訪問してるときは営業スマイルくらい見せていると思いたい。わたしは一緒に外勤したことないからわからないけど。
ちなみに彼、顔の元の造りは悪くない方だ。というか、はっきり言ってしまえばかなりのイケメン。
身長180cm以上はあろう長身に、つり目気味な二重の瞳、きりっとした眉、形のいい鼻とくちびる。
ベース型な小さい顔は肌がキメ細かくなめらかで、足が長くバランスのいい体格をしており、スーツがよく似合う。
パーマなのかワックスのなせる技なのかはわからないけど、くしゅっと無造作な短い黒髪は、それでも清潔感がただよっていた。
「わかりました」
あっさりとそう言って、立ち上がった印南くん。
彼はわたしに手を差し伸べて引き起こしてくれた後、何事もなかったかのようにオフィスへと入って行った。
その後ろ姿を見送って、呆気にとられるわたし。
……うん、そう。
これです、これ。
仕事ができて真面目な彼の、ちょっと特殊なところ。
わたしと会話をしていた今の数分間、印南くんはすこっしも、表情を変えなかった。
いきなり名前を呼ばれたわたしが驚いて変な声をあげてしまったときも、わたしの乙女な趣味を知ったときも、「業務命令」と言ったときも。
彼は、いつだって無表情。少なくともわたしは、印南くんと知り合って半年の間、一度も笑った顔なんて見たことがない。
そもそも、わたしと彼は頻繁に雑談したりするようなそこまでの親しさもないんだけど……でも、それにしたってこのポーカーフェイス具合は異常だと思うのだ。
まあ、さすがに取引先を訪問してるときは営業スマイルくらい見せていると思いたい。わたしは一緒に外勤したことないからわからないけど。
ちなみに彼、顔の元の造りは悪くない方だ。というか、はっきり言ってしまえばかなりのイケメン。
身長180cm以上はあろう長身に、つり目気味な二重の瞳、きりっとした眉、形のいい鼻とくちびる。
ベース型な小さい顔は肌がキメ細かくなめらかで、足が長くバランスのいい体格をしており、スーツがよく似合う。
パーマなのかワックスのなせる技なのかはわからないけど、くしゅっと無造作な短い黒髪は、それでも清潔感がただよっていた。