冷徹なカレは溺甘オオカミ
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週の最終日・金曜日の仕事も、残すのは午後の業務のみとなった。
1時間あるお昼休み。自分のデスクでお手製のお弁当を食べ終えたわたしは今、コーヒーを買いに16階のラウンジへと来ている。
自販機でいつものカフェラテを購入し、ラウンジの端っこにあるふたり用カフェ席の椅子に腰をおろした。
ふうふう息を吹きかけて冷ましながら、ほろ苦い液体を飲み込んで肩の力を抜く。
いつからか始まっていた、印南くんと過ごすランチ。けれども今日は彼が矢野さんに引っぱられ、その他にも今週はなんだかんだお互いの都合が合わずに、1度も彼と一緒にオフィスで食べていない。
ちょっとだけ距離を置くつもりといえど、そこは別に、わざとじゃなくて。……いや、嘘だ。水曜日のお昼だけは、特に約束してる相手もいないのに、逃げるように外へとランチに出た。
……器用にできないなあ、わたし。これじゃあそのうち、避けてることがバレてしまうかも。
ため息をつきながら、空になった紙コップを自販機横のゴミ箱に捨てた。
さてオフィスに戻りますか、と顔をあげたその先。
予想外の人物を視界に捉えてしまい、思わず硬直する。
「あ、柴咲さん」
「……印南くん……」
あああ、なぜこのタイミングで彼と会うんだ……!
いや、オフィスに戻ったらどうせ隣りの席だけど! それでもバッタリ会うのとそうでないのとじゃ、心持ちが全然違うんだよ……!!