冷徹なカレは溺甘オオカミ
「……かわいそうですね」
ぽつりと聞こえた印南くんの言葉に、いつの間にかうつむかせていた顔をあげた。
声は石井さんと清田さんにもちゃんと届いたらしく、ふたりが反応する。
「え、なに、おまえが?」
「やっぱ印南、なんか利用されてんの?」
「違います」
妙にはっきり響いたセリフと同時に、わたしの左手を包む彼の手の力が強くなった。
……『かわいそう』って。もしかして、わたしがってこと?
別に、そんな憐れみ、いらないのに。……ああでも、彼は最初から、そうだった。
わたしが、『かわいそう』だったから。
だから印南くんは、わたしのことを──……。
そのときまた、痛いくらいに彼の手に力がこもった。
「かわいそうなのは、石井さんたちです」
予想もしなかったそのセリフに、「は?」、と壁の向こうから疑問の声があがる。
わたしだって同じ気持ちだ。思わず、印南くんの横顔を見上げる。
前を見据えた静かな表情。なにも、感情なんてうかがえない。
そして彼は、そこからさらに、とんでもない言葉を投下した。
「……かわいそうですね。柴咲さんのかわいいところを知らないなんて、本当に、かわいそうです」
ぽつりと聞こえた印南くんの言葉に、いつの間にかうつむかせていた顔をあげた。
声は石井さんと清田さんにもちゃんと届いたらしく、ふたりが反応する。
「え、なに、おまえが?」
「やっぱ印南、なんか利用されてんの?」
「違います」
妙にはっきり響いたセリフと同時に、わたしの左手を包む彼の手の力が強くなった。
……『かわいそう』って。もしかして、わたしがってこと?
別に、そんな憐れみ、いらないのに。……ああでも、彼は最初から、そうだった。
わたしが、『かわいそう』だったから。
だから印南くんは、わたしのことを──……。
そのときまた、痛いくらいに彼の手に力がこもった。
「かわいそうなのは、石井さんたちです」
予想もしなかったそのセリフに、「は?」、と壁の向こうから疑問の声があがる。
わたしだって同じ気持ちだ。思わず、印南くんの横顔を見上げる。
前を見据えた静かな表情。なにも、感情なんてうかがえない。
そして彼は、そこからさらに、とんでもない言葉を投下した。
「……かわいそうですね。柴咲さんのかわいいところを知らないなんて、本当に、かわいそうです」