冷徹なカレは溺甘オオカミ
【なんで?】

【シュウカちゃんには、バラがよく似合うのに】



「──ッ、」



ぞくりと、身体中に寒気が走った。

それと同時に、あのバラはやはりわたし宛てに置かれていたものなんだと、おそろしい確信が胸を突く。

震える手で短いその手紙を拾ってみれば、やはりそれは、昨日わたしが置いたものの裏側を使って書かれていた。


……昨日の夜から今朝にかけて、間違いなく誰かがここに来て、そしてわたしに宛てた手紙を置いていった。

その事実は思っていた以上に重くのしかかり、そしてどうしようもない恐怖と不安に、わたしを陥れる。


──どうしよう。印南くんの言う通り、やはりこれは、警察に相談するべきなのだろうか。

でも、直接この手紙の主に、自分は何かをされたわけではない。そんな今の状況でも、果たして警察は動いてくれるのだろうか。


集合ポストの前で立ち止まったまま、時間だけが過ぎていく。


……会社、行かなきゃ。

今日は金曜日。お姉ちゃんと颯真に連絡をとって、仕事が終わったらどちらかの家に行かせてもらおう。

しっかり、しなくちゃ。……大丈夫。直接危害を加えられたりはしてないんだから、大丈夫。


気持ちを落ち着かせるように、深く呼吸を繰り返す。

そうしてようやく、いつまでもここに立ち尽くしているわけにはいかないと、重い足を動かしたのだった。
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