冷徹なカレは溺甘オオカミ
マンションに着いて、まず集合ポストを確認する。

……よかった。何も、入ってない。

自分の家のからっぽの郵便受けを見て安心するなんて、おかしな話だ。

ふう、と息をついて、扉を閉める。


真冬の19時ともなれば、あたりはもう真っ暗だ。

マンションについている蛍光灯の明かりを頼りに、階段をのぼっていく。

そうして自分の住む2階に到着したわたしは、ふと、視界の先に何か気になるものを見つけて、目を細めた。



「……ッ!!」



訝りながら近づいて、驚く。

わたしの部屋、203号室のドアの前に──一輪の赤いバラが、落ちていたから。



「な、なんで……」



無意識に、震えた声がもれた。

これまでは、1階の郵便受けの中に入っていたソレ。

だけど今、バラがここに落ちているということは──この場所に、その差出人が訪れたということで。

わざわざわたしの部屋の前まで、やって来たということで。



「ッ、」



ぞく、と、背筋を寒気が走る。


……やだ。やだやだやだ、いやだ。

こわい、こんなの、こわい。

なんで、わたしなの? わたしが、何かしたっていうの?


ほとんどパニックになりながら、わたしはバッグの中を漁って、なんとか部屋の鍵を見つけ出した。

思うように動かない手でそれを握りしめ、鍵穴に刺そうとしたところで──ぴたりと、動きを止める。
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