冷徹なカレは溺甘オオカミ
いまだに颯真から返信がないうえ、お姉ちゃんは箱根だ。
他に行くところなんてないし、今日はこのまま、ホテルにでも泊まろうかな。
「……ところで、この後のことなんですけど」
頭上から降ってきた声に、わたしは思考をやめて顔を上げる。
外灯に照らされた印南くんの横顔は、思わず息を止めてしまうほど綺麗だ。
そんなふうに見とれていたら、目の前の彼は、淡々ととんでもない爆弾を落とした。
「とりあえずこの後タクシーを呼んで、まず柴咲さんの家に寄ります。で、必要なものだけ持ったら、今日は俺の家に泊まってもらいますから」
「………はい?」
あまりにも予想外のセリフすぎて、だいぶ反応が遅れてしまった。
ええっと、印南くん今、なんて言った? 『俺の家に泊まってもらいますから』とか言った?
ようやく思考が追いついたわたしは、思わず足を止めてぶんぶん首を横に振る。
「い、いいよ、そこまでしてくれなくて」
「でも柴咲さん、あの家に帰りたくないでしょう?」
まさにその通りなので、とっさに反論できず押し黙ってしまった。
……いや、黙ってる場合じゃない。
こんな夜更けに、わたしが印南くんの家に行くだなんて。そんなことが許されない理由が、ちゃんとあるじゃないか。
他に行くところなんてないし、今日はこのまま、ホテルにでも泊まろうかな。
「……ところで、この後のことなんですけど」
頭上から降ってきた声に、わたしは思考をやめて顔を上げる。
外灯に照らされた印南くんの横顔は、思わず息を止めてしまうほど綺麗だ。
そんなふうに見とれていたら、目の前の彼は、淡々ととんでもない爆弾を落とした。
「とりあえずこの後タクシーを呼んで、まず柴咲さんの家に寄ります。で、必要なものだけ持ったら、今日は俺の家に泊まってもらいますから」
「………はい?」
あまりにも予想外のセリフすぎて、だいぶ反応が遅れてしまった。
ええっと、印南くん今、なんて言った? 『俺の家に泊まってもらいますから』とか言った?
ようやく思考が追いついたわたしは、思わず足を止めてぶんぶん首を横に振る。
「い、いいよ、そこまでしてくれなくて」
「でも柴咲さん、あの家に帰りたくないでしょう?」
まさにその通りなので、とっさに反論できず押し黙ってしまった。
……いや、黙ってる場合じゃない。
こんな夜更けに、わたしが印南くんの家に行くだなんて。そんなことが許されない理由が、ちゃんとあるじゃないか。