冷徹なカレは溺甘オオカミ
「『婚約者がいる』なんて、そんな回りくどい駆け引きをしなくても。あなたに触れれば、すぐに答えは見つかった」

「ッ印南、くん」

「俺に触れられると、すぐ赤くなる柊華さんがだいすきです。そんなあなたを見て、俺はもっと、あなたがすきになる」



彼の甘い言葉に、わたしの身体は簡単に色づく。

目を合わせていられなくて視線を泳がせれば、それを許すまいとするように、顔が近づいた。



「もう、いいですか? キスがしたい」

「──、」



疑問形なくせにわたしの返事も聞かず、彼はくちびるを重ねてきた。

触れるだけだったそれが、次第に深く口内を侵食するものになって。慣れないながらも、必死で舌を絡ませて応える。



「っん、い、いなみく……っ」

「名前。苗字じゃなくて」

「……っだいち、くん」



気づけば、わたしの身体は完全にソファーに押し倒されていた。

いつかの夜のように名前を呼ぶと、彼は一度くちびるを離して、眼前で微笑む。



「うん、それ。たまんない」

「……ッ、」



ぼん!と一気に、体温が上がった気がした。


な、なんか今の彼、すごくいやらしいんですけど!

というかいつもよりずっと表情があって、戸惑いまくりなんですけど……!
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