冷徹なカレは溺甘オオカミ
彼の手がわたしのブラウスの裾から侵入してきて、するりと脇腹を撫でた。

小さく悲鳴をあげたわたしは、思わず抗議の目を向ける。



「ちょっ、ちょっと、印南くん!」

「大智」

「だ、大智くん、何してるの!」



すると彼は、見慣れた仕草で小さく首をかしげて。



「ナニって……この状況ですることなんて、ひとつだと思いますけど」

「な……っ」



あまりにも迷いなく言うものだから、こっちが言葉に詰まってしまう。

その隙に彼は、ブラウスの中に入れた手の動きを再開して肌をくすぐっている。

わたしはもう、ちょっとしたパニック状態だ。



「ま、待って、あの、えーと、シャワーとか……っ」

「待たない。俺が今日まで、どれだけ我慢してたと思ってるんですか」



耳をやわらかく食まれて、びくんと身体がはねた。

わたしの顔のあちこちにキスを落とす間にも彼の手は休むことなく、器用にブラウスのボタンを外していく。



「ん、あ……っ」

「この際なので全部、白状しちゃいましょうか」



ちゅ、と音をたてながらこめかみにキスをして、ささやく。



「『業務命令だ』と言われて、あなたを初めて抱いたときには──もう俺は、あなたに惚れていたんです」

「えっ?」
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