冷徹なカレは溺甘オオカミ
たまらなくなって、わたしは彼の首元に腕を伸ばして抱きついた。

受け止めてくれる大智くんの左手が、わたしの背中にまわされる。

彼の肩口に顔をうずめ、震えながら嗚咽をかみ殺した。


こちらから無理やり始めたと思っていたのに、本当は、彼の方がこの展開を望んでくれていたのだろうか。

なんてわたしは、しあわせ者なんだろう。彼はこんなにも、わたしのことを想ってくれていた。



「ほ、ほんとに、わたしでいいの……?」



すん、と鼻をすすりながら、小さくつぶやいた。

互いの表情がうかがえるところまで顔を離して、おそるおそる大智くんを見つめる。



「だって、わたしと一緒にいたら……大智くんも、悪く言われちゃうんだよ」

「もしかして、前に『偽恋人をやめよう』と言って来たのは、それが理由ですか?」



少し迷ってから、わたしは素直にうなずいた。

一度深くため息をついた彼は、またぎゅうっと、強くわたしを抱きしめる。



「馬鹿ですか、あなたは。そんなもの、勝手に言わせておけばいいでしょう」

「でも、」

「『でも』じゃない。俺は柊華さんがすきで、あなたも俺をすきだと言ってくれているんだから、まわりがどれだけ騒ごうが関係ないです」



わたしの両頬を包み込んだ大智くんが、コツンと互いのひたいを合わせる。

小さく笑みを浮かべる彼は、とろけるような眼差しでわたしのことを見つめていた。
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