冷徹なカレは溺甘オオカミ
◇ ◇ ◇
「ん……」
髪を撫でられた感触がして、わたしはゆっくりと目を開けた。
ふかふかのまくらに横向きで頭をうずめた状態の視界には、カーテンの隙間から差し込むやわらかな日差し。
……ああ、もう、朝なんだ。
はっきり覚醒しない頭でそのまま寝返りを打とうとしたわたしは、そこである違和感に気づく。
「……印南くん。なにしてるの」
朝の挨拶もなく、しかも同僚だったこれまでと同じ呼称で彼を呼んでしまったのは、致し方ないと思う。
だって今まさに自分が名前を呼んだ彼が、見慣れた無表情で──なぜかわたしに覆いかぶさるように、こちらを見下ろしていたからだ。
「おはようございます。質問に正直に答えますと、柊華さんの寝顔をあらゆる角度から舐めまわすようにガン見していました」
「そこは普通に『見てました』でいいんじゃないかな……」
つぶやきながら、未だにものすごい視線の圧を向けてくる彼の頬をぐいぐい押しのける。
大智くんは素直に、さっきまで自分が寝ていたであろうわたしの右隣りへごろりと体を倒した。
「つれないですね。ゆうべはあんなに……」
「あああもうその先は言わなくていいから……!」
放っておけばまたとんでもない発言をしそうな彼の口元を、あわてて両手でおさえつける。
昨晩の自分の痴態はしっかり記憶にあるので、わたしは思わず顔を赤くした。