冷徹なカレは溺甘オオカミ
「いいの? たぶんわたし、重いよ。今まで経験ない分、きっと大智くんに、依存しちゃうよ」

「それは、望むところですね」



あまりにも間髪入れずに返されたから、逆に意表をつかれて彼を見上げた。

視線の先の彼は、少しだけ口元を緩めながら前を見据えている。



「というか、重いのはむしろ俺の方です。“業務命令”を理由に、まんまとあなたの家に行ったあのとき……俺のことをすきになるようにって呪いをかけながら、柊華さんのことを抱いたんですよ」

「の、のろい……」

「ええ。呪いですね」



こくりと神妙にうなずく横顔に、不安なんか忘れて思わず脱力。



「そこはさー……もうちょっとロマンチックに、こう、魔法とかさー」

「ふ、『魔法』」



笑いを含んだつぶやきにムッと顔を上げれば、いつの間にか大智くんはこちらへと視線を向けていて。



「やっぱり柊華さんって、意外と乙女ですよね」

「わ、悪い? アラサーが乙女だったら!」

「いえ、悪くないです」



あっさり答えながら、彼が空いた右手を伸ばしてきた。

その大きな手が、わたしの前髪をさらりと梳く。



「あなたのそういうところがかわいくて、愛おしいんですよ」

「……ッ、」
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