冷徹なカレは溺甘オオカミ
仕事かよ!なこの文面、プライベートなやり取りとしてはいかがなものか。
まあ、印南くんからすれば仕事なんだもんね、あの約束。なんてったって“業務命令”だもの。
メールの件名から察するに、わたしのバージンをもらう、という行動は、どうやら印南くんにとって“時間外業務”という位置づけらしい。
……いいけどさ、別に。今さら初体験に対して、夢とか抱いてるわけでもないし。
むしろ処女っていう事実が重たいくらいだから、今回みたいな行動に出たわけだし。
相手がすきな人じゃなくても、よっぽど変な人じゃなきゃいいんだもん。そもそもすきな人なんていないしさ。
……印南くん、やさしくしてくれるかな。
きっと、やさしくしてくれるよね。だってわたしがそういうことするの初めてだって、知ってるわけなんだし。
ま、まさかそんな、アブノーマルなことを要求されたりとかは……。
「……うー」
小さくうなりながら、ぼすんとソファーに横になる。
いつも斜め分けにしている長い前髪が、ぱさりと顔にかかった。
……印南くんと、えっち、しちゃうのかあ。
したことないから、完全に未知の領域だけど……なんか、恥ずかしいこと、いっぱいするんだよね?
だ、大丈夫だろうか、わたし。今後彼と仕事上関わっていくうえで、平静でいられるだろうか。
なんだか熱くなってきてしまった頬を、両手のひらで覆う。
──やめよう、深く考えるのは!
だってきっと印南くんだって、深く考えないでオーケーしただけだもの。どうせ1度きりだし、しかも業務命令とか言ってるし仕方ないか~的な。
うん、たぶんそういうこと。だから、大丈夫、大丈夫。
「……よし、髪乾かそ!」
がばりと身体を起こして、そのまま立ち上がる。
ウェーブがかった髪をドライヤーで念入りにブローしながら、ドキドキ早鐘を打つ鼓動をなんとか抑えたのだった。
まあ、印南くんからすれば仕事なんだもんね、あの約束。なんてったって“業務命令”だもの。
メールの件名から察するに、わたしのバージンをもらう、という行動は、どうやら印南くんにとって“時間外業務”という位置づけらしい。
……いいけどさ、別に。今さら初体験に対して、夢とか抱いてるわけでもないし。
むしろ処女っていう事実が重たいくらいだから、今回みたいな行動に出たわけだし。
相手がすきな人じゃなくても、よっぽど変な人じゃなきゃいいんだもん。そもそもすきな人なんていないしさ。
……印南くん、やさしくしてくれるかな。
きっと、やさしくしてくれるよね。だってわたしがそういうことするの初めてだって、知ってるわけなんだし。
ま、まさかそんな、アブノーマルなことを要求されたりとかは……。
「……うー」
小さくうなりながら、ぼすんとソファーに横になる。
いつも斜め分けにしている長い前髪が、ぱさりと顔にかかった。
……印南くんと、えっち、しちゃうのかあ。
したことないから、完全に未知の領域だけど……なんか、恥ずかしいこと、いっぱいするんだよね?
だ、大丈夫だろうか、わたし。今後彼と仕事上関わっていくうえで、平静でいられるだろうか。
なんだか熱くなってきてしまった頬を、両手のひらで覆う。
──やめよう、深く考えるのは!
だってきっと印南くんだって、深く考えないでオーケーしただけだもの。どうせ1度きりだし、しかも業務命令とか言ってるし仕方ないか~的な。
うん、たぶんそういうこと。だから、大丈夫、大丈夫。
「……よし、髪乾かそ!」
がばりと身体を起こして、そのまま立ち上がる。
ウェーブがかった髪をドライヤーで念入りにブローしながら、ドキドキ早鐘を打つ鼓動をなんとか抑えたのだった。