冷徹なカレは溺甘オオカミ
正反対な性格のふたりが目の前でコントのようなやり取りを繰り広げる中、グラスを両手で持ったまま黙ってうつむいていたわたし。

そこでようやく、ぽつりと爆弾を投下する。



「……わたし、もう処女じゃないし」

「「え?」」



お姉ちゃんと颯真、ふたりの声が見事にハモり、さらにはまったく同じタイミングでぐりんとこちらを向いた。

やっぱこういうとこ姉弟だよねー、なんて若干遠い目で現実逃避していたら、お姉ちゃんは満面の笑み、颯真は驚きの表情で、揃いも揃って身を乗り出してくる。



「きゃあああっ! 柊華ちゃん、とうとう彼氏できたんだね! よかったねおめでとうー!!」

「マジかよ柊華、なんですぐに教えねーんだよ! 年上か? 同い年か? 年下か? とりあえず会わせろ!」



赤飯だー!祝杯だー!と騒ぐふたりを前に、いたたまれない気持ちでまたもや爆弾を落とす。



「や、あの……彼氏は、できて、ないです」

「「………」」



わたしの言葉に、ぴたりと動きを止めてこちらをガン見したふたり。

それから同時に顔を見合わせて、何事もなかったかのようにもといたクッションの上へと舞い戻った。



「なんだ、ただの妄想か」

「柊華ちゃん、仕事忙しくて疲れてるんだねー」

「なー瑛奈、プリンまだ余ってる?」

「うん、あるよ~」

「ちょ、ちょっと待ってふたりとも、最後まで話を聞いて……!」
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