冷徹なカレは溺甘オオカミ
「バカ、間抜け、ついでにうかつ柊華。後輩だかなんだか知らないけど、彼氏でもないヤツにそんな簡単にバージンあげてどーすんだよ」

「う……っ」



5歳も年下な弟の思いっきり呆れた顔と声が、グサグサと心臓に突き刺さる。

会心の一撃で、シュウカに50のダメージ! そしてまだまだ、ソウマのターン!



「あせるのはわかるけど、つーか俺もおもしろがってあせらせてたけど、それじゃ本末転倒。俺、自分の姉貴にはちゃんとすきな男と一緒になってもらいたいよ。前に会社で柊華の悪い噂流した男のことも、俺まだムカついてんだからな」

「そーま……」

「だいたい、男なんてみんなアホで単純でケダモノなんだから、1回カラダ許したらその後なに要求されるかわかったもんじゃ……」

「そ、それは、違う!」



突然声を荒らげて否定したわたしに、颯真とお姉ちゃんが驚いた表情を浮かべる。

ハッとして、だけどもその言葉を取り下げることもできなくて。

というか取り下げたくないわたしは、拙いながらも自分の気持ちを語った。



「あのね、その後輩は、印南くんていうんだけど……すごく真面目で仕事がデキて、信用できる人なんだよ。他人にあんまり興味ないのか、噂話とかもしてるの見たことないし」

「……ふーん。で?」



『で?』、と来ますか……。

ぐっとひざの上の両手を握りしめて、わたしは視線を逸らさないよう、まっすぐ颯真を見つめた。



「で、だから……わたしはうかつでもなんでも、印南くんとしちゃったこと、後悔はしてないよ」

「………」



わたしの言葉に、ふう、と颯真が息を吐く。

なぜかにこにこ笑顔で、お姉ちゃんが彼の背中を叩いた。
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