冷徹なカレは溺甘オオカミ
はあっと深くため息を吐くことで、羞恥から来る身体の熱をなんとか逃がす。



「……そんなの訊かれたって、わかりません。だってわたしは、ハジメテだったわけだし」



わざと素っ気ない口調で言ってみても、ふたりの好奇心はおさまらないらしい。

後ろのソファーに背中を預けて床に座っていたわたしを追いつめるように、両サイドからじりじりと近づいてくる。



「やだ柊華ちゃん、簡単なことだよ。気持ちよかった? よくなかった?」

「……ほんとに、ウチの長女は……」

「諦めろ、柊華。狙った獲物は逃がさないのが俺たちだ」

「……長男もかい……」



かわいらしく小首をかしげるお姉ちゃんと、神妙な顔でうなずいてみせる颯真。

押しの強いこのふたりに挟まれては、これ以上逃げることはできない。

ソファーの上にあったビーズクッションを体育座りでぎゅうっと抱きしめて、思わずくちびるをとがらせた。



「……そりゃあ、相手の人はわたしがハジメテって知ってたわけだから。や、やさしくは、してくれたよ」

「へぇ~~」



お姉ちゃんのやたらいい笑顔になんだかバツが悪くなって、さらにクッションを抱きしめる手に力を込める。

そして自然と頭の中によみがえってしまうのは、あの夜のことで。
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