この恋心に嘘をつく

(受かる、のかな……?)


何度も履歴書を送り、何度も面接を受け、その度に送られてくる【不採用】の三文字。

その三文字を見る度に思う。


君はいらない――。


そう言われているんじゃないか、って。
誰も自分を、必要となんてしていない。

そんなネガティブな思考が、頭の中で堂々巡りを繰り返す。


「……寒い」


コートのポケットに手を突っ込むと、指先に固いものが当たった。


「……缶コーヒー」


まだ、ほんのりと温かい。


『お疲れ様です』


そんなこと、滅多にお客さんから言われない。

ありがとうを言うお客さんよりも、もっと珍しい。


「……温かい」


単純な自分に、笑ってしまう。
こんな缶コーヒー1本で、ネガティブ思考にストップがかかる。

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