この恋心に嘘をつく
安生 凛子――23歳。
大学を卒業して、もう1年になる。
「一年、か……」
足を止め、空を見上げる。
冬の夜空には、真ん丸なお月様。
1年――1年間ずっと、自分は落ち続けたんだ。
1年間ずっと、自分はアルバイトのままだったんだ。
大学在学中に就職先が見つからず、凛子はやむ無くアルバイトで生計を立ててきた。
そのうち見つかるだろう――なんて、高を括っていたが、結局1年間、ただの1つとして【採用】の二文字が送られてくることはなかった。
「いつまでも、このままじゃいられないし……」
季節は冬。
もうすぐしたら、2年目に突入してしまう。
「正社員にならないと……」
家に帰ったら、また求人案内を見て、履歴書書いて――。