この恋心に嘘をつく
「では、私は失礼します」
頭を下げ、バイト先への道を戻ろうとした瞬間、手を掴まれた。
「…………あの?」
「送りますよ。駅前のコンビニの店員さん、ですよね?」
「…………」
初対面のはずだ。
何故、知ってるの?
訝しげな視線を向けると、男性は困ったように苦笑する。
「この間、タバコを投げつけられてた店員さんですよね?」
「…………あ――! 缶コーヒーの!」
思い出した。
お疲れ様と言って、缶コーヒーをくれた珍しいお客さん。
「あの時はありがとうございました」
深々と頭を下げると、男性はおかしそうに微笑んだ。
「気にしないでください。――じゃあ、乗って」
「え? あ、大丈夫です! お気遣いなく」