この恋心に嘘をつく
「…………学生では、ないです」
フリーターと言うのは、気が引けた。
「そうか。――さぁ、着いた」
「あ……」
なんだか、とても長い時間、外に居たような気がしてしまう。
バイト先が、懐かしく思えた。
「今夜は、もう終わりかな?」
「そうですね、多分」
本当は、防犯カメラのチェックとか、発注とか色々とやるべきことはあるのだが。
「開けるよ」
ドアを開けようとすると、男性が制して先に降り、助手席のドアを開けてくれた。
「あ、ありがとうございます」
慣れた雰囲気に、きっといつものことなのだろうと、納得した。
こういう気遣いが自然とできる男性が、まさか本当にいるなんて。
「送っていただいて、ありがとうございました。……お気をつけて」