この恋心に嘘をつく
「――お疲れ様」
優しい笑顔を浮かべて、男性は運転席のドアを閉めた。
車は静かに、コンビニの敷地から出ていく。
コンビニへ戻る足が一旦止まって、車が走り去った方向を振り返る。
「……変な人」
悪い人じゃない。
優しい人だと、思う。
でもきっと、優しいだけの人でもない。
「今日は、疲れた……」
早く帰ろう。
そう思い、止めていた足をコンビニへ向けると、前方から駆け寄ってくる人影が見えた。
「安生さ~ん! 心配したんですよー!」
「あれ? まだ帰ってなかったの?」
バイトの時間も終わり、私服に着替えた優理子は、ずっと事務所で凛子が帰ってくるのを待っていたのだ。
「帰れるわけないじゃないですか! 無事で良かったぁ」