この恋心に嘘をつく

「……砂糖いれ忘れた」


ブラックコーヒーは苦いから、飲めない。

砂糖を追加して、改めて一口。


「ふぅ……。バイトまで、まだ時間あるな」


腕時計で時間を確認して、どうしようかと考え込む。

元々、バイトの時間まで家でゆっくりしていようと思っていた。

そこに、この間の面接の結果が届き――開ける前から、きっとダメだろうとネガティブな思考に陥っていたから、気分を変えようと外出することにしたのだ。


(本屋でも行こうかなぁ。でも、予想外の出費になるかもだし……)


頬杖をつき、通りに視線を移す。

スーパーの袋を持った女性や、スーツ姿の忙しそうな男性。


「……なんか私、時間を無駄遣いしてる気分」


周りの人が忙しなく働いてるなか、自分だけ呑気にコーヒーを飲んでいる。

余裕のある人?

いいや、違う。

次の予定までの空いた時間、特に何もやることがない人、だ。

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