この恋心に嘘をつく
男性が座ったのを確認して、ウェイトレスがメニューを持ってくる。
「コーヒーを。安生さん、おかわり?」
「え? い、いえ。いいいです」
「そう。じゃあ、コーヒーひとつ。あと、これも」
メニューを指差し、ウェイトレスに注文を済ませる。
(なんで一緒の席に……)
気まずくて、つい残りのコーヒーを全部飲んでしまった。
「お休み?」
「いえ。もうすぐしたら、バイトです。えっと……お仕事の休憩か何か、ですか?」
男性は、きっちりとスーツを着ている。
ストライプの入った紺色のスーツは、絶対に安物ではない。
(この人、何の仕事してるんだろ)
あまりジロジロと見るわけにはいかないので、チラッとしか見ていないが、平社員じゃないのは確かだ。