いつだって僕らは
なんだか話を変な方向に持っていかれそうだったので(このテンションの時の藤谷には要注意)あたしは空を見る。窓際の席はこれができるから本当に便利。藤谷のことだからあたしが話を聞いていなくても話し続けるだろう。

「燐はね、マジで良いやつなんだよ?今度燐に柚維の事紹介するから!」

「え?あたしの事を?やめてよね」

藤谷と仲が良いということはきっとまともな人間では無い。(あたしも藤谷の友達だけど……それなりにまともなんだからね!)そんな人と文通したらどうなるんだろう。顔も知らない人と文通をする。それにはそれなりに興味が沸いてくるけれど。
ぼーっと考え始めたあたしは、回せもしないのにペンを指でくるくるする。あくまでもなりきりで回せてはいない。

「そんなこと言って、本当は燐と文通したいんだろ?丁度いいよ。燐彼女できないとか言ってたし」

「だからってなんであたしがその人と文通なんか…」

あたしがそう言うと、藤谷はさっき「文通」と書いたノートをあたしの目の前にひらひらと見せてきた。

「一度やってみれば、結構楽しいと思うぜ」

無邪気な笑顔で藤谷は文通の話を終えた。それと同時に授業も終わった。学校中にチャイムが鳴り響く。チャイムの音に驚いたのか、学校の屋上のフェンスに止まっていたカラスたちは、遠くの空まで飛んでいく。
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