サンドリヨンに憧れて
「香澄」

「・・・離して」

「ごめんな・・遅くなって」

すっと私から離れると今度は肩を抱きながら駅の方へと歩きだした。

今此処で言おうか・・それとも家で・・・

考えながら歩いていると、通りがかったタクシーを止めた。

「乗るぞ」

「え?」

そのまま乗りこみ家の住所を伝えて走りだした。

運転手に気づかれないように手は繋いだまま何も話さなかった。

今夜はどうしよう・・・家の前で別れて帰ろうか・・・

外の景色を見ながら考えていると繋いだ手にギュッと力が入り

彼の方へ顔を向けると繋いだ手を離して頭に手をまわしもたれさせた。

何か言ってくるのかと待ってみたが私の髪を撫でるだけで

何も言わなかった。

彼の家の前に着き降りる私を抱き寄せた。

「香澄・・・今夜は帰らんとってくれ」

いつもと声が違う・・・なんやろう・・

私も優大のこともあるし・・・後は晴香さんのことも・・・

喧嘩になるかもしれない・・でも言いたいことは言わないと・・・

「・・わかりました・・」

そっと離れて玄関に向かった。


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