恋、物語り
教室に入るとナツキが駆け寄ってきてくれた。
「アヤ、痩せた?」
この3日、食事は喉を通らなかった。
体重は2キロ減った。
「ナツキ……」
鼻をすする音が2人の空間に響く。
「アヤ?大丈夫?何かあった?」
優しいナツキの言葉に安心する。
授業が始まるというのに、ナツキは私の手を引いて歩いた。
こんな時、話が出来るような屋上は開いていない。
ナツキは考えた末に、武道場の前に行った。
体育館に行くときに反対方面に行くとある武道場は、死角になっていて誰も来ない。
そこに2人で座った。
ナツキは私の頭をずっと撫でてくれている。
「アヤ?どう?大丈夫?話せる?」
コクンと、首を縦に振った。
「あのね……」
消えてしまうような私の言葉を、彼女は懸命に拾ってくれる。
「うん、うん」と、優しく相槌を打っていたが、その表情が曇って行くのが分かる。