恋、物語り
[おはよう。眠い。
やっぱり夜遊びはダメだな笑
アヤは起きてる?]
内容のないメール。
これだけのメールなのに胸が痛いーー…
起きてすぐ送ってくれたのかな?
それとも支度中?
太陽の光が反射して
画面の見づらくなったディスプレイを
ずっと、ただずっと見つめていた。
[おはよう。
わたしも眠たい。
小林くんは夜遊びやめなさい笑
そろそろ学校行かなくちゃ。
また学校でね]
朝の忙しい時間、
このメールだけに10分の時間は要したと思う。
送信ボタンを押してから
パチンと携帯をたたみ、カバンにしまった。
「あ!時間!!」
気がつくと、もう家を出る時間。
クシで少しはねた髪を直し
薬用のリップを唇に滑らせて
慌ただしく家を出た。
「いってきまーす!」
玄関に来そびれて母が
遠くから「いってらっしゃい」と叫んでいた。