恋、物語り



[おはよう。眠い。
やっぱり夜遊びはダメだな笑
アヤは起きてる?]

内容のないメール。
これだけのメールなのに胸が痛いーー…

起きてすぐ送ってくれたのかな?
それとも支度中?


太陽の光が反射して
画面の見づらくなったディスプレイを
ずっと、ただずっと見つめていた。


[おはよう。
わたしも眠たい。
小林くんは夜遊びやめなさい笑
そろそろ学校行かなくちゃ。
また学校でね]

朝の忙しい時間、
このメールだけに10分の時間は要したと思う。

送信ボタンを押してから
パチンと携帯をたたみ、カバンにしまった。



「あ!時間!!」
気がつくと、もう家を出る時間。
クシで少しはねた髪を直し
薬用のリップを唇に滑らせて
慌ただしく家を出た。


「いってきまーす!」

玄関に来そびれて母が
遠くから「いってらっしゃい」と叫んでいた。


< 24 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop