恋、物語り
「ありがとう!助かった」
私はミツルにお礼を言って自転車を降りた。
「おぉ」と短く返事をしたミツルは、すぐに校内へ入る。
きっと千夏を迎えに行くだろう。
いつまで経っても仲の良い2人を
羨ましがらない友達はいないくらい。
本当に仲が良い。
自転車に乗せてもらったとはいえ
時間はギリギリ。
足早に私も校内へ入ると玄関でばったりナツキに会った。
「おはよう、アヤ。
今日はスッピンなんだね」
完璧なメイクをしたナツキが言う。
「時間なかったの。
あ、おはよう」
ナツキは吹き出して「アヤって最初に言うべきことを最後に言うよね」と言って笑っていた。
ーー…あぁ、一日が始まる。