恋、物語り
「ユウコ…だっけ?
あんたがコバを好きだろうと関係ない。
コバがアヤを好きなことだって
アヤがコントロールしたわけでもない。
自分が不利な状況になったからって
アヤを責めるのはお門違いなんじゃない?」
さすが恋愛経験豊富なお姉様。
ナツキは責めるわけでも、哀れむわけでもなく
ただ静かに彼女たちに言った。
「だって……
私なんてずっと好きだった。
中学の時から…ずっとずっと好きなの。
それなのに…いきなりコバが告ったとか聞いて…
私だってこんなこと意味ないってわかってる。
でも、この感情をどこにぶつけていいかわかんないんだもん」
ヒックヒックと肩をあげながらユウコは話す。
「今の今まで自分の気持ちをぶつけなかったのが
悪いんじゃないの?
こっちにその気持ちぶつけるくらいなら
コバに言いなよ。知らないよ」
ナツキの言い方は時々すごく冷たい。
でも、私をかばってくれている愛情が伝わる。
彼女たちは泣きながら何も言わずに
教室へと去って行った。
キーンコーンカーンコーンーー…
ショートホームルームの始まりを告げる鐘。
ナツキに「ありがとう」とお礼を言って
私たちも教室へと向かった。