恋、物語り
1時間目の現国を
あくびをしながら聞いていたら
ポケットで携帯が震えた。
教師に見つからないように
こっそりと机の下で開く。
小林啓介の文字にドキっとする。
[1時間目の数学疲れるー。
わけわかんねー笑
アヤは今何の授業?]
授業中に来たメールに
コソコソと返信するのは初めてのことで
教師に見つかるんじゃないかと
ヒヤヒヤしながら文字を打つ。
[現国だよ]
たった一言しか打てなかった。
たわいもないメールのやり取りを
1時間目が終わるまでずっとしていた。
時々、教師がこっちを見てる気がしたけれど
怯まず返信を続けた。
ドキドキする感覚も
楽しいと思えたーー…