恋、物語り

「ん?」と、彼はこちらを見た。

「…あー…いや、ごめん!なんでもない」

あははと笑う私にナツキが
「この子、今日変なんだ」と続ける。




ーー『……あ…あの…』

『中島くんも来る?』ーー…

その一言が言えなかった。聞けなかった。



夜に会う約束をして
私たちはそれぞれの教室に入った。
最後まで手をふる小林くんの横を歩く中島くん。
小林くんに手を振り返しながら私は…
中島くんを見ていたのかもしれない。


暗めの茶色い髪。
程よく黒い肌の色。
黒縁のメガネ。

ーーー…中島くんを目で追ってしまう。
< 37 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop