恋、物語り
母にミツルの家に行ってくると告げると
「ミツルと付き合ってるの?」なんて
トンチンカンなことを言ってきた。
「なんでよ。
ミツルは千夏と付き合ってるじゃん」
あぁ、そうよね。
母は握ったエプロンを話して言った。
あまり遅くならないようにと忠告を受けて家を出た。
ガチャっと玄関をあけると
高い空に散りばめられた星を見ている小林くんの姿。
「え…どうして?」
思わず声が出て、その声が聞こえたであろう小林くんは私を見て笑った。
「待ち伏せみたいでごめんね。
夜遅いからさ、女の子1人じゃ危ないでしょ」
優しい言葉を投げかけてくる彼。
「あ、ありがとう」
一言呟いて、小林くんは自転車を押して一緒に歩く。
辺りは夏だというのに
すっかり暗くなっていて
民家からは美味しそうなご飯の香り。